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寒波の襲来で寒い日が続く。ついつい体が縮み、肩も背中もばりばり。そんなとき、お灸は血の通りをよくし、元気を回復させてくれると聞いた。でも、皮膚の上でもぐさを燃やすなんて、大丈夫なのか。煙のにおいも気になる。自宅でもできる手軽で安心な方法を聞いた。

自宅でお灸

東京都内に住む女性会社員(35)は、長時間労働で生活が不規則。パソコンの前に座り続けることも多く、肩こりや冷えがつらい。お灸はこうした症状に効くと聞いたが「火や煙がこわくて手を出せなかった」と言う。
お灸は、ヨモギを干してすりつぶした「もぐさ」を肌の上に置き、火をつける。それがなぜ治療になるのか。
鍼灸師で筑波大講師も務める山口智・埼玉医大東洋医学科主任によると、松尾芭蕉の「奥の細道」には、旅だちの前に灸で体調を整えるくだりがあり、古くから使われているという。
「温熱刺激が血液の循環をよくし、白血球を増やして免疫力を高める。冷えや生理不順、花粉症予防などにも効果があります」
もぐさは燃やしたときの熱の上がり方が緩やかなため刺激がやさしく、この療法に適しているという。メカニズムは十分解明されてはいないが、経験的にはもぐさ内の成分も免疫力の向上などに有効といわれる。
問題は、もぐさを肌に直接置くと、やけどの跡が残る点だ。こうした「直接灸」の難点を克服するため昔から使われてきたのが、もぐさと肌の間にニンニクの薄切りや、みそなどを挟む「間接灸」=図1=だ。

熱くなったら我慢せず

面倒な人は、薬局や生活用品店で新タイプの間接灸を購入できる。灸の大手「セネファ」(本社・滋賀県浅井町)の「せんねん灸」は、ニンニクなどの代わりに、もぐさの下に台座を敷き、その裏の接着剤で肌に固定する。
これをツボや、押してみて気持のいい場所に置き、線香やライターで火をつけて熱さを感じるまで待つ。刺激で内臓が動き出すのを感じることもある。
注意点としては、顔などの敏感な部分、熱があるとき、血圧が高いとき、炎症がある部位、入浴の前などは避けることだ。
やけどが不安な人は「熱くなったら我慢しないですぐ灸をとるのがコツ。跡がピンクになってさえいればOK」と富士治左衛門・釜屋もぐさ本舗社長は話す。
若い女性の鍼灸への関心は高いが火や煙が苦手との声も少なくないセネファでは、もぐさと酸素と鉄粉の化学反応による発熱を組み合わせたカイロのような形で火も煙も出ない低温型も開発。釜屋は、もぐさの代わりに、燃えても煙やにおいが出ない炭化もぐさを使ったものを売り出している。
日本鍼灸師会の相馬悦孝会長が勧めるのは、自力でもぐさをより合わせる直接灸だ=図2。「効き目は高い。新型の製品でお灸に慣れた人向け」という。コルク板2枚に、もぐさをはさんで転がすグッズを使い、もぐさをこよりのように細長くする。先端を米粒大に切って点火、じかに肌に載せる。熱さを感じたらすぐとる。
相馬さんによれば、灸は、鍼のように体内まで入らないため、素人が家庭で使っても安心という。「専門家に合ったツボを教えてもらい、リラックスできる時間帯に毎日続ける。忙しい人は週末だけでも定期的に続けては」と助言する。

3ヵ条
一、手軽な新製品で、慣れる
二、顔など敏感な部分は避ける
三、発熱や高血圧時は控える

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