じつはハリにはいろんな種類があります。「ハリ」とひとこと言っただけでは、道具としてのハリはもちろん、治療法もふくめてじつにさまざまなことを意味します。
ここでは治療の道具としてのハリをとりあげて、ふだんよく目にするものからちょっと特殊な鍼まで、簡単ですがご紹介してみたいと思います。
毫鍼(ごうしん)

もうハリといったらこれ!!というくらい一般的な、いちばん使われるハリです。ひょっとしたらテレビなどで御覧になったことが有るかもしれません。
一般的に長さは3〜5センチ、太さは0.16〜0.26ミリで、ハリの先は松葉型という特殊な形をしています。この形は中国の古い書物でも「アブや蚊のくちばしに似た」という記述がありますから、昔から刺しても痛みを感じにくい形が研究されていたことが分かります。
材質はステンレス合金がほとんどですが、金や銀の合金で出来たものも使われています。
ステンレスが使われる理由は、折れにくく殺菌消毒が容易なことと、単価が安いので使い捨てにできるからです。
単価の高い金や銀が今でも使われる理由は、刺したときの感覚がやわらかいためです。
針治療の大半はハリを刺すことですが、毫鍼は刺す以外にも皮膚をさすったりする接触鍼にも使われます。つまり毫鍼さえあればほとんどの治療が可能なためこれが主流になっています。
てい鍼

刺さないハリの代表です。ツボというのは不思議なもので、敏感な体質の人にはこういう金属を接触させるだけでも効果があるものです。指圧のようにぐいぐい押すわけではなく、ホントに触るだけです。
あと軽くなでたりさすったりもします。
ただ頑丈な人や疑り深い人には効果がないので、あまり一般的には使われません。
皮内鍼
テープで皮膚に固定して使うハリです。長さは4〜8ミリで、皮膚のいちばん表面のところへ横向きに1〜2ミリほど刺してテープで留めます。
持続的に刺激することができるので効果があり、よく使われるハリです。
「お風呂に入っても大丈夫なのか?」とよく聞かれますが、刺さっているのは皮膚のいちばん浅いところですから、よほど強くこすったりしなければ心配ありません。
また特別なテープの貼り方をしますから、それ以上深く刺さることもまずありません。安心してご利用していただけます。
円皮鍼
皮内鍼と同じようにテープで固定するハリです。画鋲そっくりですが、まるい部分の直径が2〜3ミリ、ハリの長さが1〜1.5ミリと、超ミニサイズです。
これも手軽に使えて効果があるので、よく使われるハリです。
お風呂上がりにテープがはがれて落っことすことがありますので、子供がふんずけたりしないように気を付けましょう。
イオン鍼
むかし11円療法というのが流行ったのを憶えているでしょうか。あれはイオン鍼を応用したものです。
種類の違う金属の間の電位差を利用して、磁石のN極とS極のような方向性をだしたものです。
金色のハリがN極、銀色のハリがS極に相当しますが、ハリを刺すのと皮膚に貼るのでは身体に働く作用が逆になることがあります。
いまでは使い捨てのハリが一般的になってきたのと、使い方が難しいこともあってほとんど使われなくなってしまいました。
挫刺鍼(ざししん)

直径1ミリくらいはある太いハリで先端が曲がっています。この曲がった部分で結合組織の硬結部をからめ切るという、特殊なハリです。
鍼製品のカタログには載っているので、たぶん使っている人がいるのでしょうが、残念なことにこのハリを使っている所は見たことがありません。使っている人も見たことがありません。どなたかご存じの方がいらしたら、ぜひお教えください。
三稜鍼(さんりょうしん)

イラストではヤリのように見えますが、全長は5センチくらいです。
皮膚の表面を薄く切る刺絡療法に使われます。けっこう効果があるので人によってはよく使われますが、出血をともなうことが多いので使わない鍼灸師のほうが多いようです。
イラストの注射器みたいな形のものはスプリングとストッパーが入っていて、より使いやすくしてあるものです。刃は本体のなかに隠れています。病院で使う採血針と同じような感じです。
小児鍼

イラストは左から、三角ばり、長刀針、バチばり、松葉針、かきばり、員利針、ホーキ針です。
これ以外にもいろんな形がありますが、ようは使い勝手の問題で効果はさほど変わりません。
小児針は皮膚をさするようにおこなう接触鍼です。子供だけでなく体質の敏感な大人にも用いることがあります。
刺すこともありませんし強い刺激はあたえませんので、子供でも安心して治療を受けられます。
最近はあまり見かけなくなりましたが、以前は関西を中心にさかんにおこなわれていました。
お子さまの病気でお悩みの方は一度試してみてはいかがでしょうか。
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